「東京の都心で毎日せわしなく動いている自分と、大草原の中を馬で駆け抜けていた私とでは確実に何かちがった。」
関西大学 宮川 依万

ただ単に「楽しそう」とノリで参加したこのツアーがこんなにも自分を成長させ、これからの自分に大きく影響を与えるものになるとは、出発前、夢にも思いませんでした。モンゴルの人々、馬、食べ物、風習などに触れ、私は確実に視野が広がり、考え方も変わった。
モンゴルの馬は、普通の馬より小さくて、温和と聞いていたが、初日に張さんの乗馬講座を聞いて、いざ馬に近づいてみると、意外と大きくて驚いた。たしかに性格は温和だったのかもしれないが、乗馬経験がほとんどない私には恐くて仕方がなかった。
そのような気持ちのまま、残念ながら3日目くらいまで乗馬をしてしまった。最初は足も腰もお腹も痛いと、口からはひたすら文句しかでないし、馬に乗っていても、次はいつどこで休憩なのだろうかということしか頭になかった。しかし、一番の山であった3日目の40キロ以上移動した日以降私の中で何かが変わった。馬に対してだんだんと愛着がわきはじめ、どんどん可愛く感じるようになってきた。足はあざだらけだし、筋肉痛もひどいはずなのに、馬でいくら移動しても気持ち良く感じ、汗だくで頑張っている自分の馬に心の中でエールを送っていた。すると不思議と張さんが求めるべきといっていた一体感が感じられるような気がして嬉しくてたまらなかった。馬にお疲れ様の意を込めて馬と共に歩いた時は、踏まれてしまう危険性も忘れ、真横で歩いてしまった。
私がこのようにしてモンゴルの馬の素晴らしさを体から感じることができるようになったのは、もちろん自分一人の力ではない。常に皆に目をむけて下さって、たくさんの心に響くお話しをして下さった張さんをはじめ、ずっと私たちの世話をして下さった遊牧民の方々。彼らとはもちろん言葉は通じない。しかし一緒に過ごす時間は、心の底から楽しくいっぱい笑った。言葉が通じない分、相手が今何を考え、思っているのだろうかと普段はそこまで使わない神経を使ってコミュニケーションをはかろうとした。そして、たくさんのジェスチャーや音楽を交えてまさに心の交渉に成功した。ここまで、身をもって感じることのできた心の交流は、初めてであり、貴重な体験となった。
東京の都心で毎日せわしなく動いている自分と、大草原の中を馬で駆け抜けていた私とでは確実に何かちがった。馬の上では、決まって考えなければならないこともなければ、何かに追われてる感もない。完全に自由であった。
見渡す限りの大草原、満天の星空、流れ星、休憩時に食べるおいしいスイカやハミウリ、寒い中で温かく燃え上がるキャンプファイヤー、馬の優しい目、遊牧民の心からの笑顔。全てが一生の宝の思い出となった。このモンゴルでの5日間は、私の人生の中で一番濃い5日間となったことは間違いない。モンゴルで私は一番、心の気持ちの大切さを学ぶことができた。この経験、またモンゴルで考えたこと、感じたこと、どれ一つも忘れずに、日本での生活、これからの人生に生かしていけたら、一回りも二回りも大きく、豊かな自分に出会える気がする。