野生馬保護

蒙古野馬(モンゴルノウマ)は中国新疆またはモンゴルに生息する、世界で唯一現存する野生馬。馬の進化史を調べるうえで大変貴重な存在だという。野生馬は 15 世紀前後にヨーロッパでいなくなり、絶滅したと考えられていたが、19世紀の終わりになってロシアの軍人であるプルゼワルスキーがモンゴルに赴いたときに 野生馬を確認し、ヨーロッパは大騒ぎになった。そして世紀の入れ替わりの頃に苦労の末、いく度かの捕獲行によって数十頭の蒙古野馬がヨーロッパに持ち帰ら れた。見はるかす蒙古草原や中国シルクロードに往時はたくさんの群で居たそうだが、家畜馬や羊との生存競争に破れ、また狩猟によって、いったんは中国と蒙 古では絶滅してしまった。そこで、ヨーロッパの動物園で育てられていたモンゴルノウマ18頭を引き取り、1986年に中国はモンゴルノウマ繁殖研究セン ターを設立、新疆アルタイ地域で再び野生に返す計画を進めている。現在、世界の生息数は約1300頭とパンダよりも稀少だという。 “私たちの前になだらかなジュンガル盆地を背景にした蒙古野馬の群れがいる。無心に草を食み、子馬は母馬にまとわりついている。ちょっと間違えば確実にこ の地上からいなくなっていたであろう蒙古野馬の運命を想い、少なからぬ感動を覚えた。野生馬の生存に欠かせない原始的な自然環境はここ新疆とモンゴルにし かないことを思うと、この大地がなお愛しくなった”